校長室より地頭方小学校を日本一楽しい学校にするぞ
六年生のクッキー
6年生の皆さんが家庭科の授業で心温まる活動を行いました。先生たちへの感謝の気持ちを込めて、一生懸命にクッキーを焼いてくれたのです。そのクッキーを、かなたさんが私のところにも届けてくれました。
手に取ると、少しごつごつとした感触。でも、ひと口いただくと、手作りの温かさがしっかりと伝わってくる、不思議な味わいです。決して完璧ではないけれど、心に深く染み渡る優しさがありました。
このクッキーには、6年生が卒業に向けて新たな一歩を踏み出したという印が込められているのでしょう。そのことに気づいた瞬間、嬉しさと同時に少しだけ寂しさも胸をよぎりました。
クッキーをひとつ、またひとつと味わいながら、六年生とわたしの3年間の思い出の数々が心に甦りました。
校長室にいたあの子たちのこと。マークさんとビンゴをしたこと。ソーランの練習をしたこと。栄光の架橋を校長室で練習したこと。朝霧で山登りをしたこと。修学旅行で雷おこしを作ったこと。特別授業をしたこと。学校の校則を作ったこと。鈴木梅太郎丼を開発したこと。
今後未来を目指す六年生の子供たちがしっかりと根を張り、大きく羽ばたいていってほしいと、そんな気持ちになりながら最後のクッキーを食べました。
六年生のような、優しい味のクッキーを食べました。
でも・・・、ちょっと堅かったです。おせんべいのようなクッキーでした。
心に残るこのクッキーをくれた6年生の皆さん、ありがとう。そして、卒業に向かっての大切な活動を始める皆さんの姿を、今後も心から応援しています。
校長先生の初恋物語 第46話
美しいそうじ
地頭方小学校の子供たちが、この一年間ですばらしく上手になったことの一つに、そうじがあります。掃除の時間、地頭方小学校は静まり返ります。ほうきではく音。雑巾でこする音。そんな小さな音が聞こえるくらい、みんなが黙って一生懸命取り組みます。ちょうど掃除の時間に校長室にお客様がいらっしゃることがあると、みなさんびっくりされます。「すごく静かですが、今日は学校がお休みなんですか。」とおっしゃいます。「そうではありません。今、そうじの時間です。」と伝えると、その掃除の様子を見てみたいということで、時々案内をしますが、みなさん目を丸くして、「すばらしいそうじです。」とつぶやかれます。様々な業者さんは、「いろんな学校を回りますが、掃除の時間にここまで静かに一生懸命やっている学校はありません。」とうれしいことを言われたこともあります。
一年生の教室を見に行ったら、水道のところで冷たい水を出しながらごしごしみがいているとおさんがいました。靴箱に行ったら、細かい砂を小さなほうきで集めている子供たちがいました。みんなひざをつけていました。中央廊下はホコリ一つありません。四年生が役割を分担してとても丁寧に掃除をしています。
先日は、御前崎市の教育委員会の方が掃除をご覧になりました。その一人の方が、「子供たちの掃除の姿が美しい。」とおっしゃいました。最高の誉め言葉だと思いました。
教師の仕事は素晴らしい
「先生の仕事はブラック」「教師になる人が減っている」そのようなことを耳にされたことがあるでしょう。「保護者がモンスターとなり先生を攻撃する」ということは一昔前によく聞かれたことです。教師という仕事は、大変。それが今では、教師の仕事はかわいそうと言われるようになりました。
ぜんぜん違います。断言します。
教師の仕事は素晴らしいです。
教師という仕事を選んだ人は、多くのお金を稼ぎたくてという感覚はありません。それよりも、やりがいです。子供たちの成長を特等席で見られるうえに、毎日が違います。同じ日が一日もないのです。子供たちの予想していなかった成長に感動があります。
地頭方小学校は、本当に素晴らしい学校です。何が素晴らしいかって、子供たちです。子供たちは、優しいです。親切です。これは、地頭方という地域が育てているものです。地頭方小学校には、実に多くの地域の方が、子供たちの活動に協力をしてくださっています。様々な大人にお世話になりながら、子供たちの優しい心は磨かれています。そんな優しさにあふれた子供たちと毎日生活できるのですから、教師という仕事に喜びしかありません。地頭方小学校の子供たちは、教師となったことに喜びを感じさせてくれる子供たちでです。
教師という仕事の魅力を奪っている存在があります。保護者です。地頭方小学校の保護者の皆さんのことを言っているのではありません。地頭方小学校の保護者の皆さんは、学校を、先生を信頼してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。でも、他の学校では、保護者に苦しんでいる先生は少なくありません。
例えば、子供が学校に忘れたものを先生が家まで届けてほしいという要望があります。雨の日は、先生がみんなカッパを着て駐車場に出て交通整理をすべきという声もあります。学校に水筒を忘れたから、中のお茶を出して洗っておいてくださいというお願いもあります。家に誰もいないから、七時まで子供を預かってほしい。その時に、宿題を全部終わらせてほしい。このような学校への声を聴くと、わたしは教師という仕事が何なのか、分からなくなってきます。でも、このような保護者の声が、地頭方小学校ではまったくありません。ですから、わたしたちは教育業に専念できて、子供たちの成長のためになる仕事を楽しくやることができます。
教師の仕事は素晴らしいを感じさせてくれる学校、それが地頭方小学校です。
保護者の皆さん、本当にありがとうございます。