校長室より地頭方小学校を日本一楽しい学校にするぞ
人格を否定しない
「だからお前はダメなんだ。」「お前は何をやってもだめだ。」「やめとけ。どうせお前には無理だ。」「何回同じ事繰り返すんだ。お前はバカか。」
このような言葉をついつい口にしてしまう大人はいませんか。これらの言葉は、ひとむかし前のスポーツ指導者が口にしてきた言葉です。
これは、女子バレーボールで日本代表をしていた方の講演の中で聴いたことです。
人格を否定するような言葉です。このような言葉を受けた子供は、どう思うでしょうか。
「そうか、自分はダメなんだ。なにをやってもダメなんだ。」
自分を否定するようになるでしょう。
同じような言葉を、子供たちが親から言われてしまうこともあります。学校の先生の中にも、もしかしたらいるかもしれません。いや、きっといます。
スポーツの指導者はそれを指導だと言います。
親はそれをしつけといいます。
先生はそれを生徒指導と言うかもしれません。
そんなのすべて間違いです。
子供は間違うもの。失敗するもの。迷うもの。
いけないことをしてしまうことだってあります。その行動が間違っているのだよって伝えるのが大人の役目であり、
そんな行動をとってしまうお前はダメなんだよは、絶対に言ってはいけません。
どんなことがあっても、その子の人格は否定しない。ダメだった行動に気づかせてあげる。
一緒に、やっていきましょう。
丸くなって 顔を見て
四年生の教室に行くと、時々みんなが丸くなって話し合いをしていることがあります。それは、クラスがよりよくなるための大事な話し合い。クラスに課題が見つかったとき、それを解決するための話し合い。それぞれが思うことを吐き出して、すっきりするための話し合いです。この話し合いが、四年生にとってとても重要だと感じます。
地頭方小学校は、このように、何か失敗があったとき、トラブルが起きた時、子供たちが考えています。先生たちは、子供たちに考える時間を与えてくれます。
丸くなって。顔を見て。
おそうじがすばらしい
管理棟の一階にトイレがあります。そのトイレが、とてもきれいです。六年生のめなさんが担当しているトイレです。
約一か月、めなさんはトイレ掃除を担当しました。トイレ掃除は、いやがる子だっています。学校の中で、一番汚れやすいところです。
校長先生が子供のころは、何かいけないことをした時の「ばつそうじ」は、たいていトイレでした。それくらい、トイレそうじはみんなかいやがるそうじという印象なんです。
「ロング昼休みを取り戻そう。」という六年生からの掛け声でスタートし、あれだけだめだった掃除が全校で変わり、ほこりだらけの廊下が変わり、掃除時間の無駄話が消えました。ロング昼休みを取り戻すためにという理由で子供たちは始めたことかもしれませんが、実際に黙って一生懸命掃除をやってみると、今まで味わったことがない感覚があるのです。それを感じたのが、めなさんです。めなさんは、六年生になって、そうじを一生懸命やって、気づいたのです。「きれいになるって、気持ちがいい。」と。自分に任せられているトイレが、毎日毎日きれいだと、それがうれしいと。ロング昼休みのことなんてどうでもよくなっていて、純粋に掃除の大切さに気付いていったのです。それが大事。
ロング昼休みを取り戻したいという子供の思いで掃除をしていくのは、目の前に餌をぶら下げているみたいでいやだという考えもあるかもしれませんが、でも、それが子供の発想であり、大人のものさしではなく子供のものさしでとにかく子供の考えることでやってみたら、めなさんのような子が一人また一人と増えていくのではないかしら。めなさんのような子はきっとほかのクラスにもちらほらいて、そういう子を先生たちが見つけて、価値づけていくことが大切なんじゃないかしら。
地頭方小学校の掃除はすばらしいです。胸を張って言えます。
いつか、ロング昼休みを取り戻し、そのころには、そうじの大切さや気持ちよさを知っている人がたくさんになっているはずです。
めなさんは、次の一か月も、そのトイレ掃除をしたいと立候補したそうです。